私も驚くほどのマニアなポートフォリオ管理システムNPMについて説明します、元祖のポートフォリオ系システムとしてBarraが有名なんですが、それを恐ろしくマニアっぽく再構成したものがNPMです。金融データソリューションという会社が作ってます。
何がすごいか
- Barraシステムよりだいぶ安い(半額強くらいのイメージ)
- 日経ベースの日次データ、リターンデータが充実
- Microsoftの「SQL SERVER」にデータが入っており、SQL SERVERを活用できる(ローカルPCの場合)
- APIを標準装備、ExcelでもC#でも自動処理をプログラム処理できる
- 自分のリスクモデルをシステムに登録できる、指数データも登録できる(かなりマニア)
そもそのポートフォリオ管理システムとは
ファクター革命を起こしたBarraモデル
それまでのリスクの推定は、時系列株価データを使う予想でしたが、「財務データとマーケットデータ、業種データなど50種類弱のファクターデータからリスクを推定する」方法を取ったのがBarraです。
そのモデルの設計思想は、「Modern Portfolio Theory」 という本の中で詳しく述べられています。このモデルによってファクターを基準としてポートフォリオを構築するスタイルが大きく普及しました。
ファクター革命を起こしたと言っていいでしょう
最初のオープンイノベーション起こる
この「Modern Portofolio Theory」にはモデルの作り方まで詳しく書いてあったので、モデルを模倣することが可能でした。この本によってオープンイノベーションが起こったといえます。すごい本です。
その頃大和証券のクオンツは非常に優秀な人達が集まっており、いち早くバーラ類似モデルを作成してしまいました。それがPOETです。模倣と行ってもお金のかかる大量のデータを日経や東洋経済などから購入しなくてはならず、大手証券でしか出来なかったでしょう。
大和証券のクオンツがスピンアウトして作ったのがNPM
最初NPMは日経新聞社の子会社という扱いでした。なのでデータはほぼ日経のもの。
私も山一證券のときに日経からデータを買う際の高いコスト、扱いにくさを良く知っており、かなり使いやすい形でデータベースに収録されているのを知って驚いたものです。
最初に自分が使ったのは2003年頃
そのころ私は保険会社から投信会社に転職し、クオンツファンドマネージャーとしてデータ分析する必要にかられていていたものの、Quick社から落とせるデータしかなく、途方にくれていました。
そんなときにプレゼンきたのがNPMってわけです。その機能と価格にびっくりしました。部長に頼み込んだら、契約してくれました! 本当に嬉しかった。
API標準搭載にびっくり
クオンツにとってシミュレーションは頭の種、バーラシステムで10年期間のシミュレーションは、その頃はかなりの手作業が入っていて大きな苦痛を伴うものでした。
それが、NPMの場合にはAPIですべて自動化できるのです。ポートフォリオのシミュレーションが飛躍的に高まりました。一晩中でも計算させられる!
日次データが入ってるのも驚き
その頃のシミュレーションといえば月次ベースのものが多かったので、日次データがデータベースに入っているのも驚きでした。おまけにリターンデータには配当・分割修正済みのものが収録されているのです。神のようなシステムに思えました。
その頃のデータベースは台湾の会社のDBMasterというデータベース、その頃はまだMicrosoftのSQL Serverも遅かったのです。
転職するたびにNPMを入れてもらった
結局、その後転職した銀行系大手証券会社、中堅証券会社でもNPMを入れてもらいました。必要なデータが最初からパッケージで入っているってすごいことです。
クオンツの基礎体力を作るのに最適
NPMを入れると、SASやPython、VBA全てにおいてデータベースに接続して、様々な計算が出来るので株のクオンツとしていろいろなことができます。最高の環境です。
SQL Serverにしても、普通はシステム管理者しか自由に使えないのですが、NPMの場合にはローカルPCにSql Serverを設置した場合、自分用のインスタンスを作ってもらい、そこに自分用のテーブルを登録したり、ストアドプロシジャさえも作成できるのです。
SQL Serverを熟知していれば、他のリレーショナルデータベースも間違いなく自由に使えることでしょう。
実用性もかなり高いのですが、いろいろなことを学べるのです。
参考リンク
Modern Portfolio Theory Andrew Rudd、 Henry K. Clasing
Active Portfolio Management Richard C. Grinold