クオンツとは
金融工学を駆使してデータ分析したり、モデル開発したり、実際に売買を行うような人達です。でもクオンツ自体がQuantitative からきた造語なんで、厳密な定義はとくにありません。
デリバティブモデルを開発している人もクオンツだし、BARRAなどのリスクモデルを駆使してポートフォリオを作ってる人もクオンツだし、モデルをもとにトレードしてる人はクオンツトレーダーだし、わりといい加減です。
金融業界で、インテリっぽくデータに接している人達と思っておけば良いでしょう。
データサイエンティストとの違い
インターネットとコンピューターの高度化によって、ネットに存在する大量のデータ(ビッグデータ)を分析する需要が爆発的に生まれました。
そういったデータを分析している人や機械学習(AI)に関するデータを分析する人達をデータサイエンティストと呼ぶようになっています。
こちらも厳密な定義はありませんが、クオンツもデータサイエンティストもデータを分析するという点では同じです。データサイエンティストのほうが今風ですね。
どんな人がクオンツになるの?
私の知り合いのクオンツだけを見ると、偏差値がそれなりに高めの国立大や私大で物理・数学・情報工学・電気電子などをやっていた人が多いです。東大・東工大・東北大・京大・早稲田・慶応あたりの理系って感じです。
統計学や確率微分方程式などをよく知らなくては仕事にならない人達もいますが、実際にはそれらは専門ソフトによってパッケージ化されていたりするので、特別な学歴は必要なかったりします。
人事部ってカタログ的な選択をしがちなので、その結果、そういう流れになってしまったのかもしれません。
どんな人が向いてるの?
業務では生の金融データを扱うことになるので
- 金融データをきちんと理解できる
- コンピュータが使える
- プログラミングができて、データを適切に処理できる
- 自分で企画を考えてアウトプットを出せる
- モデルを作って実際に儲けたいなどの野心を持っている
などが必要です。学歴で得られるスキルとはちょっと違うことがわかると思います。
どんな種類があるの?
金利か株かクレジット
私は株なんですが、金利やクレジットのデリバティブをやっているクオンツもいます。私はデリバティブに興味を持って勉強してた時期もあったので、なにかの弾みで金利系のクオンツをやっていたかもしれません。
リスクモデル系クオンツ
MSCIに吸収されたBARRAやRiskMetrix社はリスクを推定するソフトを開発しています。リスクモデルを考える人達もクオンツです。年収が特別高くなったりとかはないと思いますが、好きならいい仕事だと思います。
クオンツトレーダー
クオンツの知識を用いて実際にリスクをとって儲ける仕事の人達です。インセンティブトレーダーの場合には稼いだぶんに応じて報酬がでるので、優秀なら普通のサラリーマンの何倍も稼ぐことができますし、損ばかりするとクビになります。ハイリスク・ハイリターンです。
情報提供系クオンツ
証券会社のアナリスト
今ではだいぶ数も少なくなっています。機関投資家に対して、依頼されたデータを作ったり、シミュレーションをしたり、市場分析などをプレゼンして、投資の提案などを行います。アナリストの人気があれば、注文ももらえるので、人気に応じた報酬をもらえますが、基本的にサービス業であり大変です。
アセットマネジメントなどの社内クオンツ
お客さんやフォンドマネージャーへの情報提供を行うクオンツです。社内向け資料作成やシステム開発を行います。好きなことができるわけではないので、大変だと思います。サラリーマンなので特別な報酬も得られません。
いいところはどういうところ?
データを扱うことが仕事なので、データが好きな人は営業的な仕事よりもストレスなく仕事ができます。
高度な分析やプレゼンができると、すごいと言ってもらえることもあります。
会社にもよりますが、統計ソフトや専門的なソフトを習得する機会に恵まれますので、専門家としてのキャリアを形成しやすいです。
自分次第でどんどんステップアップできますが、同じ環境に身を委ねているだけだとチャンスはあまりないかもしれません。