物知りクオンツトレーダーのM君はお友達
銀行系証券の自己売買部門にいるときに、転職してきたクオンツトレーダーのM君、やたら物知りでいろんな話題を提供してくれ、相場一色になりがちなトレーダー生活にポップな彩りを加えてくれた。
ファクターモデルでロング・ショート、トレード用APIで自動売買
彼は大手D証券の自己売買部門のクオンツチームにいた。D証券といえば、トレード用APIを使用したクオンツモデルでかなり儲けていたことで有名、彼はそのクオンツチームにいたので同じ用なスタイルをとっていた。
彼は隣の席にいて、売買は自動だし日中はわりと余裕があったので、自分もトレードに余裕のある時間には知的な話からグルメ、アニメ、マンガなどまで、かなり多様な話をした。
彼は自分より一回り年下なのだけど、嗜好とか趣味、考え方っていうのは年齢にあまり関係ないので、同じクオンツって事もあるけど、普通に友達みたいになっていった。
一人クオンツの孤独もわかるM君
クオンツと言われる人達は、普通はチームで仕事をしているはずだ。自分について言えば、アナリスト・ファンドマネージャのとき、どちらも実際のお客さんがいる都合上、それぞれの分担の中で仕事をしていた。
M君も転職する前までは、チームでやっていたので、初めて一人クオンツになったわけだ。
一人になると作業は全て一人でやらなくてはならないし、喜びも悲しみも自分に帰ってくる、良いことばかり続かないので、そんなときは経験したことがないような孤独感やプレッシャーを感じる。
チームの中では、開発が人一倍早いとか、すごいツールを作れるとか、分析がチームに役立ったとか、自分が作業する事で評価されるが、一人トレーダーは実績が全て、これは経験しないとわからないこと。
という事でM君はクオンツ特有のストレスが理解できるということで、共感しやすかったかもしれない。
M君オススメのアニメ
ValueとかGrowthとかリバーサルとか、やられたとか、そんな話は普通にするけど、リアルタイムでマンガやアニメや映画の話をするトレーダーは少ない。相場が仕事で趣味みたいになっているトレーダーが多いからだと思う。
彼はトレーダーの中では珍しく、ゴシップ系の話からアニメ・マンガ・グルメ、更にテクノロジーの話までどんな話題にも、軽いポップを聞いてるかのようなノリで軽快トーク、僕が一番影響を受けたのはアニメだ。
攻殻機動隊
彼は様々なマンガやアニメを網羅していたのだが、中でもちょっと難しめのアニメが好きだった。その一つが攻殻機動隊だ。海外版のDVDボックスを格安で買ったということで、貸してくれた。
リージョンコードが日本と違うので、普通のDVDプレーヤーでは見れず、その時使っていたPanasonic のLet’s noteで視聴しながら、翌日M君にその感想を言う日々が続いた。
話はかなり近未来的であり、過去の政治ネタみたいなものも入っているので、かなりマニア向けのアニメだし、知的好奇心がなければ面白いと思えないかもしれない。
かなり鋭い視点の内容が多くて、日本アニメを代表する傑作だ。M君はストーリーの背景まで詳しく説明してくれた。
テクノロジーの組み合わせで起こりうる未来世界、アルゴリズムの話とも解釈できる、クオンツ的かもしれない。
魔法少女まどかマギカ
”ネットで超話題になってますよ”って進めてくれたのが「魔法少女まどかマギカ」だ。これもTV版を全話見ることになった。独特の映像に独特の世界観。
これもちょっとマニア向け内容だと思ったけど、キャラクターはポップ、マニアさとポップさが融合している、ちょっと変わったバランスが楽しいアニメとも解釈できる。
ローソンでペプシだかコーラを買ったら、まどかマギカキャラクターのミニフィギャーがついてきたので、まめに買って、フィギャーを揃えて、机の前でぶら下げていた。
もちろんエヴァンゲリオンも
こちらもテレビ放映版アニメを全部貸してくれたのだが、さすがに全部見ることはできず、貸してくれた映画のDVDを視聴した。
個人的には少し話が暗いような気もしたけど、起がこりそうな未来を一つの完成したストーリーとして提示、その中に溶け込むようなキャラクターは物語を魅力的にしている。
高校生のときにやってたら、きっとかなり真剣に見ていたことだろう。
クオンツの嗜好にあってる?
考えるのが好きな人や、ちょっと違う世界でもすっと理解して面白いと思える人は、頭が良い人だと思う。
クオンツは頭を使うところも売りなので、クオンツ向けのアニメと言っていいと思う。いままで使わなかった脳の部分で見た気がする。
グルメだけど、一番好きなのはB級グルメ
自分もザガット・サーベイなどは読んでて、それなりに有力店を知っていたと思っていたが、M君はグルメ情報もかなりのもんだった、ジャンルごとにいろんなお店を知ってたりして。
それでも一番好きなのはB級グルメで、一風堂の最上位のメンバーカードを持ってたりした。そんなM君の実家は柏方面、自分も柏に住んでいた事もあり、ホワイト餃子の話になった時。
ファイト餃子
巣鴨にホワイト餃子と同じクオリティーのお店があるということで、仲良しトレーダー軍団で行くことになった
持ち込みの”刻み生姜と黒酢”
M君が店先でおもむろにカバンから取り出したのは、黒酢とミニタッパーに入った刻み生姜。
”これで食べるとめちゃおしんですよ”、彼の言ったとおり、その新しい食べ方はかなりいけていた。
持ち込みの薬味で餃子を食べることにそれなりの緊張感はあったものの、意外とお店の人も気にする様子もなく平気だった。
こだわりのM君、ちょっとハチャメチャでそれなりに面白かった。
とにかく何でもできそうな彼、そして自分を見る
食べ物でもアニメでもわかるように、好奇心と知識吸収スピードはかなりのもの、秀才タイプの人達とはそれなりに出会って来たけど、総合的な頭の良さはかなりのレベルだった。
逆に言うと、彼の好奇心と知識欲を満たす仕事に集中できれば、クオンツトレーダーじゃなくても成功しそうなのだけど、働き方に関してはわりと保守的な彼。
彼を見ていると、自分にもクオンツトレーダー以外の適正みたいな部分があって、違う事もやってもれば意外と出来るかもと思えるのであった。「リスクを取らないことがリスクかもっ」て感じ。
まとめ
- 仕事以外の話が出来る人が身近にいることは貴重
- 世代の違う気楽な友達はアロマのようなリラックス効果
- 人付き合いでは年齢とかは気にしないほうが楽
- 少し自分と似てるけど全然違う人はヒントになる