小さな太陽は作れる? 【核融合発電】
次世代の発電システムとして期待されている核融合発電、競うように世界的に開発が進む、30年以内には実現すると予想します
実現されるとどうなる?
従来のエネルギー産業のパワーバランスが変わります。火力発電・水力発電・原子力発電などのバランス、石化産業の縮小。
電気が無尽蔵に作れるのであれば、電気自動車の本格普及に繋がります。現時点での電気自動車の本格普及には電気の供給体制や環境負荷を増やす問題があると言われています。
良い点と悪い点は?
良い点
原料である重水素は自然界に無尽蔵にある資源で、かつクリーンエネルギー、発電の際に必要なプラズマ状態は維持させる事自体が困難なことから、原子力発電のように暴走するリスクが少ないと言われています。
悪い点
技術的に非常に難しく、実現されるのがどれだけ先にになるかわからない点、またこの技術の完成と同時に衰退してしまう産業もあるため、それなりの衝突がありそうです。
しくみは?
原子力発電は核分裂によってエネルギーを発生させますが、核融合はその逆で、原子と原子を融合させることによって発電させていきます。
これは太陽の内部で起こっていることであり、
- 太陽と同じような高温状態を作り出す(1億度以上)
- 高温状態になるとプラズマ化、そこで原子と原子を融合させる
技術的にはプラズマ状態になったときに、プラズマをいかに制御して核融合を起こすかが難しいということです。
なのでその制御方式で核融合発電の方式が決まっています
3種類の方式
- 磁場閉じ込め方式・・強い磁力線を発生させてプラズマを閉じ込める
フランスで建設予定の国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」建設費数兆円
中国の核融合炉「中国還流器2号M(HL-2M)が稼働していると報道がありましたが詳細わからず - 慣性閉じ込め方式・・強力なレーザーを燃料に照射することで核融合
アメリカ国立点火施設(National Ignition Facility、NIF)
レーザーで高温状態にするところまではできたという段階です。 - ①と②のあわせ技、磁化標的核融合方式
プラズマを球状に満たされた液体金属の中に入れて、ピストンで液体金属を圧縮する
カナダのGeneral Fusion社でAmazon創始者のジェフベゾスも出資
理論ベースは完璧なのですが、その実験はこれからです。
有力な方式は?
あくまで個人的な予想ですが、構造がスッキリしており、民間企業の資金でも実現できそうな③が有力だと感じます。なぜなら数兆円もかかるような施設は、建設的な制約を受けますし、送電線の問題も大きいと考えられるからです。
- 建設に地理的な制約がない
- 一定の期間で複数建設できる
- 民間企業の資金力でも建設できる
は大きな普及要因ですし、競争もおこりやすく、技術的なブレークスルーも発生しやすいと思うのです。
勝手に深堀り
国家的なプロジェクトとなっていることから、30年という単位では核融合発電は確実に実現されると予想します。
言い換えれば30年以内にエネルギー産業に激震が起きるということ。
当然、変化の中で大きなチャンスも発生すると予想されます。
エネルギー業界のニュースにアンテナを貼り、新しく成長する企業もたくさん出てくるということでもあり、投資家として会社分析が楽しそうです。